「VPNって便利らしいけど、逆に危ないって聞いたことがある…」そんな不安を感じている方は、あなただけではありません。
たしかにVPNには通信を暗号化してくれる便利な機能がある一方で、「違法なことに使われていそう」「情報漏洩があるかも」といったネガティブなイメージを持たれることもあります。
でも、実際のところVPNは本当に危険なのでしょうか?
この記事では、そうした疑問を持っている方に向けて、VPNにまつわる誤解や注意すべきリスクをわかりやすく整理しました。
- VPNが危険だと言われる理由
- VPNのリスクと注意点
- 無料VPNの危険性
- VPNの利用が規制されている国

VPNは危険だという人もいるけど、本当はどうなのかな?
VPNを使いこなしたい方はもちろん、「まずは正しく理解したい」という初心者の方にも役立つ内容になっています。
VPNが危険だと思われている3つの理由【誤解されがち】
「VPNは危ない」「使うと逆に危険になる」といった声を聞いたことがある方もいるかもしれません。
でも、その多くは仕組みに対する誤解や、ネット上の不正利用者の存在が原因で広まった“イメージ”によるものです。
まずは、なぜVPNが危険なものだと誤解されやすいのか、よくある3つの理由を紹介します。
① 仕組みがよくわからないため「怪しい」と思われやすい
VPNは「仮想の専用線」や「暗号化トンネル」といった専門用語が多く、仕組みが直感的に理解しづらい側面があります。


そのため、「なにか特別なことをしている」「隠れて何かをしている」という印象を与えてしまいがちです。
本来はセキュリティを高めるための技術なのに、言葉の難しさが“怪しさ”につながっていることも少なくありません。
② VPNを悪用するユーザーが一部に存在する
VPNはIPアドレスを隠したり、地域を偽装したりできるため、残念ながら不正アクセスや違法行為に悪用する人も一部に存在します。
ただし、それはあくまで使う人の問題であり、VPNそのものが危険なわけではありません。
また、ダークウェブの存在がSNSによって広く知られるようになり、ダークウェブ用のブラウザとVPNを混同してしまっている人も一定数いるかと思います。
包丁や車と同じで、使い方次第で便利にも危険にもなるのです。
③ SNSやネット掲示板でネガティブな体験談が広まりやすい
「VPNを使ってたらアカウントが凍結された」「動画が見られなくなった」などの投稿を目にすると、不安に感じる方もいると思います。
しかし、それは一部のVPNが特定のサービスでブロックされていたり、規約に違反していたりするケースです。
信頼できるサービスを選び、正しい用途で使っていれば、ほとんどのトラブルは回避できます。
知っておくべきVPNのリスクと注意点
VPNには便利な機能がたくさんありますが、使い方や選び方を間違えると、かえってトラブルの原因になることも。
ここでは、VPNを安全に使うために知っておきたい5つのリスクを紹介します。
「VPNを使えばすべて安心」と思い込む前に、一度チェックしておくことをおすすめします。
VPNを使っても完全な匿名にはなれない
VPNはIPアドレスをVPNサーバーのものに置き換えることで、アクセス元を隠すことができます。
ただし、これは「本来のIPアドレスが見えなくなる」という意味であって、完全な匿名性を保証するものではありません。
たとえば、VPNの運営会社が通信ログを保存していた場合、どのユーザーがどこにアクセスしたかを記録されている可能性があります。
プライバシーを守りたい方は、「ノーログポリシー」を掲げている信頼性の高いサービスを選ぶことが大切です。


通信速度が遅くなることがある
VPNは、あなたの通信を一度VPNサーバーに通してから目的のサイトへ届ける仕組みになっています。
そのため、通信経路が長くなり、少なからず速度が落ちることもあります。
とくに、無料VPNや混雑しているサーバーでは、動画やゲームでラグが発生するケースも。
快適な通信を求めるなら、速度に定評のあるVPNや、日本国内にサーバーを持つサービスを選びましょう。
VPNが規制されている国では使用がリスクになる


日本では合法的にVPNを使えますが、国によっては事情が異なります。
記事の後半で詳しく説明しますが、中国やロシア、イランなどでは、VPNの利用そのものが規制されており、無許可で使用すると法律に違反する可能性があります。
こういった地域へ出張や旅行の予定がある方は、出発前に現地の規制状況を確認しておくことが重要です。
現地で使えるVPNアプリが制限されている場合もあるため、事前にインストールしておくのが安心です。
一部のサービスでVPN接続がブロックされることがある
一部の動画配信サービスや銀行系サイトでは、VPNを通じたアクセスを検出して遮断することがあります。
これは、不正なアクセスやジオブロック回避を防ぐための対策として導入されている仕組みです。
VPNを使っているだけで「アクセスできない」「再ログインを求められる」といったケースも報告されています。
ストリーミングサービスを快適に利用したい場合は、「動画対応」と明記されたVPNを選ぶようにしましょう。



特にVPNを利用することによって利益が生まれるようなサービスはブロックされていることが多いよ。
ゲームによってはVPN使用が禁止されていることも
一部のオンラインゲームでは、VPNを経由した接続が不正利用と見なされ、アカウントが制限されたり、最悪の場合はBAN(利用停止)されることもあります。
特に、同じIPから複数アカウントを作成しているように見える場合、運営側から疑われるリスクが高まります。
VPNを使ってゲームをプレイしたいときは、事前に利用規約を確認し、対応VPNの情報もチェックしておきましょう。
無料VPNに特有のリスクはさらに深刻
ここまで、VPN全般に共通する注意点をご紹介してきました。
中でも無料VPNは、リスクの種類・深さともに別格といってよい存在です。
なぜなら、通信を暗号化するという本来の目的が果たせていなかったり、裏で個人情報を収集していたりするケースがあるからです。
たとえば、以下のようなトラブルが実際に報告されています。
- ログ(閲覧履歴やIPアドレス)を記録して第三者に販売
- 広告やトラッキングスクリプトをユーザー端末に仕込む
- 暗号化が不十分なまま通信を中継し、情報漏洩のリスクを放置
- アプリ自体にマルウェアが混入していた事例も存在
中には「ノーログ」とうたっておきながら、実際にはログが流出したというケースもあります。
「無料だから安全」と思っていると、逆にプライバシーが侵されることも。
もちろん、信頼できる無料VPNも存在しますが、選ぶ際の基準を知らないまま利用するのは非常に危険です。
こうした無料VPNに関するリスクや、過去の具体的なトラブル事例については、以下の記事で詳しくまとめています。


VPNが規制されている国【利用時は要注意】
VPNは、通信内容を暗号化してプライバシーや安全性を守るための有効な手段です。
実際、日本の外務省でも、在外公館や本省ネットワークのセキュリティ強化策としてVPNの導入・活用を進めており、2023年度の予算要求書には「安全な情報伝達のためのVPN活用」が明記されています(参考:外務省予算書PDF(mofa.go.jp))。
このように、VPNは“危ないもの”ではなく、正しく使えば安全性を高めるための仕組みです。
ただし、世界にはVPNの使用そのものを規制している国も存在します。
その背景には、政府によるインターネット検閲、情報統制、社会的な秩序維持といった事情が関係しており、知らずにVPNを使ってしまうと罰則やアクセス遮断の対象になるリスクもあります。
VPNの利用に注意が必要な主な国と、その理由について詳しく見ていきましょう。
中国|「グレート・ファイアウォール」による厳格な規制
中国では、政府が構築する「グレート・ファイアウォール(GFW)」によって、インターネットアクセスが強く制限されています。
Google、YouTube、Instagram、X(旧Twitter)など多くのサービスがブロックされており、それを回避する手段としてVPNが使われるケースが多いですが、政府が認可していないVPNの使用は原則禁止されています。
個人がVPNを利用して摘発されるケースは少ないものの、企業や大学などでは違法行為とみなされ罰金や業務停止の処分が出た例もあります。
筆者は中国を訪れたことがあり、その際にexpressVPNを利用していましたが、問題はありませんでした。
中国を訪れた際の写真


ロシア|未登録VPNの使用禁止
ロシア政府も国内のインターネットを統制する方針を強めており、国家に認可されたVPN以外のサービスは使用禁止と定められています。
また、VPNを通じて政府がブロックしている情報にアクセスする行為は、「違法コンテンツの回避」と見なされ罰則の対象になることも。
国際的なニュースサイトやSNSなどがブロックされている背景もあり、ロシア渡航時には十分な注意が必要です。
イラン|VPNは事実上全面禁止
イランでは、宗教・政治的理由によりSNSや動画配信サービスなどの利用が大幅に制限されています。
VPNの使用自体が厳しく取り締まられており、公式に許可されたVPN以外は違法とされています。
近年では、市民による抗議活動の情報拡散を防ぐためにVPNの遮断が強化され、一部のVPNアプリが利用不能になるなどの措置も行われています。
ちなみに筆者はイランにも訪れたことがありますが、その際にもexpressVPNを利用しており、全く問題がありませんでした。
イランを訪れた際の写真


トルコ|SNSやニュースの統制目的で制限あり
トルコでは、政治的な緊張が高まった際などに、一時的にVPNやプロキシサーバーへのアクセスがブロックされることがあります。
常時使用禁止ではありませんが、国家が指定したコンテンツへのアクセス回避行為に対して規制される可能性があるため、利用には注意が必要です。
アラブ首長国連邦(UAE)|合法だが“使い方”に注意
UAEではVPNの使用自体は違法ではありませんが、VPNを利用して政府が禁止するサービス(例:VoIP通話)にアクセスした場合は違法行為とみなされることがあります。
たとえば、LINE通話やSkype、WhatsApp通話が現地で制限されているにもかかわらず、それをVPNで回避した場合には高額な罰金が科されることも。
合法とされていても、「何に使ったか」が問われる点に注意が必要です。
- 渡航先のVPN規制状況を調べる(外務省・大使館サイトなどが参考になります)
- ステルスVPN(難読化機能)に対応したサービスを選ぶ
- ノーログポリシーが明記された信頼性の高いVPNを使う
- できれば渡航前にアプリをダウンロード・設定しておく
VPNに関するよくある質問【不安をすべて解消】
VPNの導入を検討している方から、よく寄せられる疑問をまとめました。
初めての方でも不安を払拭できるよう、わかりやすくお答えしていきます。
VPNを使っていることはバレるの?
アクセス先のWebサイトやサービスによっては、「VPN経由の通信」であることを検出する仕組みを導入している場合があります。
そのため、VPNを使用していること自体はバレる可能性がありますが、誰が使っているのかまでは特定されません。
また、検出を回避しやすい「ステルス機能付きVPN」も存在します。
VPNを使うと違法になることはある?
日本国内でVPNを使うこと自体は完全に合法です。
ただし、中国やイランなど一部の国では、VPNの使用が規制されている場合があるため、海外渡航時には現地の法律を確認しておくことが重要です。
無料VPNなら使っても大丈夫?
すべての無料VPNが危険というわけではありませんが、無料で提供されている理由(ログの収集や広告表示など)を理解して使うことが大切です。
運営元が明確で、ノーログポリシーや暗号化技術がしっかりしている無料VPNも存在します。
VPNを使うとゲームのアカウントが停止されることはある?
一部のオンラインゲームやサービスでは、VPN経由のアクセスが不正利用と見なされ、ログイン制限やアカウント停止の対象となる場合があります。
利用前には、プレイするゲームやサービスの利用規約を必ず確認するようにしましょう。
VPNを使うと遅くなるのは本当?
VPNは通信を一度サーバーに中継するため、わずかながら通信速度が低下することがあります。
とはいえ、高速プロトコル(例:WireGuard)に対応したVPNや、日本国内にサーバーがあるVPNを選べば、体感的に遅さを感じにくいことも多いです。
動画視聴やオンラインゲームを快適に使いたい方は、速度重視でサービスを選ぶと良いでしょう。
VPNは正しく選べばむしろ安全に使える!
VPNに対して「危ない」「使わないほうがいい」というイメージを持つ方もいますが、実際には正しく使えばセキュリティとプライバシーを守るための有効なツールです。
危険だと言われる理由の多くは、
- 無料VPNを無防備に使ってしまう
- ノーログではないVPNを選んでしまう
- 利用規約や国の法律を確認せずに使ってしまう
といった「選び方」や「使い方」に起因しています。
逆に言えば、信頼できるVPNサービスを選び、使い方を理解した上で活用すれば、インターネットをより安全・快適に楽しむことができるということです。
特に、公共Wi-Fiをよく使う方や、プライバシーを守りたい方、海外のコンテンツにアクセスしたい方にとっては、VPNは非常に役立つツールとなります。
VPNに不安を感じていた方も、今回紹介した注意点を押さえておけば、もう迷う必要はありません。
まずは返金保証のあるVPNから試してみて、自分の環境に合うかどうかを確認してみるのがおすすめです。
「VPN=危険」ではなく、「知識がない状態で使うのが危険」という認識に変えて、安心・安全なネット環境を整えていきましょう。